初めまして、7月からNEXTEPで学生講師として働き始めました東京大学理科二類2年の東山晋承と申します。
今回は、先日友人と観てきた映画についてお話したいと思います。
夏に観る映画と言うと、普通は恋愛ものを思い浮かべるかもしれませんが、敢えてドキュメンタリーを選びました。コメディーだけが映画ではありませんからね。それもドキュメンタリーと言って皆さんが思い浮かべるような自然についてのものではなく現代社会についての映画です。テレビ番組ではNHKスペシャルの類ですね。こういうものを面白いと思ってくれる人がなかなか見付からないので、この場を借りてオススメしているということです。
さて、映画の題名ですが、『国家主義の誘惑』と言います。パリ在住の渡辺謙一監督の作品で、原作はナレーションがフランス語で、日本語版は字幕付きです。フランス語の作品ですが、フィールドはここ日本。日本に於けるナショナリズムについて取材したドキュメンタリーです。国内外の論客へのインタビューを通し、現代日本に見られるナショナリズムについて語っていきます。
国家主義とは、国家を最高の価値のあるものと見做し、個人よりも国家に絶対的な優位性があるとする考え方です。こうした考え方はグローバル化が進む現代に於いてそれに対抗する形でヨーロッパなどで大衆の支持を集めています。渡辺監督は今の日本にはそれとはまた違った空気が広がっていると語ります。ヨーロッパでは形式上は政治が成立しているが、日本では政治自体が崩壊していると語ります。
こうした政治についての話題は今の日本では忌避されがちです。監督はそれにも危機感を抱いていて、制作の動機になったそうです。現代日本を俯瞰したドキュメンタリー映画。皆さんもこの夏にいかがでしょうか。
最後に宣伝です。ここまで読んだ皆さんの中で大学受験を目指して頑張っている人もいるだろうと思います。入学後は是非我がサークル東京大学現代社会研究会(通称TOSMOS)への入会をご検討ください。少人数の文化系サークルです。
それでは今回はこれにて。ありがとうございました。