こんにちは。気付けば学生講師の中でも最高学年になってしまっていました、布施です。
東京大学大学院薬学系研究科修士課程1年と言うと少しイカつい感じがしますが、ようは去年までは大学生、今年から大学院に入ったという感じです。
大学院生って何してるんだろう?大学生と同じようなものかな?と思う人は結構多いんじゃないかと思います。
が、一言で言うと大学生の生活と大学院生の生活は全く違います。
大学生は高校までと同じように座学の授業をたくさん受けるイメージですが、大学院生はほとんど座学の授業がありません。では普段は何をしているかというと、ひたすらひたすら研究です。(もちろん学部によっても違いがあると思いますが、今回は僕が所属する薬学系研究科を例に書きます。)
だいたい月曜日から土曜日まで、朝は10時くらいから夜は21時くらいまで研究室にいて、実験をしたり、その結果について考察したり、新しく発表された論文(もちろん全て英語ですよ!笑)を読んだりしています。
研究室やら実験やら論文やらと言われても、具体的なイメージが湧きにくい人も多いんじゃないかと思います。
なので今日は少し親しみやすい、実験で使う動物の話をしようかと思います。
皆さん、実験動物と言われて何を思い浮かべるでしょうか…?
たぶん、一番思い浮かべる人が多いのは「マウス」なのではないでしょうか!
実際、最も広く用いられているのが「マウス」だと思います。いわゆる「ハツカネズミ」というやつです。なぜハツカネズミと言うかというと、「妊娠期間が20日だから」です。(豆知識でした笑)
また、マウスよりも少し大きめのサイズのネズミさんが「ラット」と呼ばれている、いわゆる「ドブネズミ」というやつです。こちらは成長するとかなり大きいサイズになります!
また、皆さんご存知無いかもしれませんが、「ハムスター」もよく実験動物として用いられるんです!意外ですよね!
哺乳類だと今まで挙げてきた「マウス」「ラット」「ハムスター」がよく用いられます。
では、他の動物を思い浮かべた人はいたでしょうか。
その他でよく用いられるものとしては、「ゼブラフィッシュ」「ショウジョウバエ」「センチュウ」「酵母」「大腸菌」などが挙げられます。マウスやラットに比べるとイメージが湧かず、???となってる人が多いかと思いますが、こういった動物も非常によく用いられていて、研究室ではたくさん飼っているんです!
多くの薬学系の研究者は、これらの動物の身体がどういうメカニズムで動いているのか、どういったメカニズムで生体の恒常性を維持しているのだろうかといったことについて、日夜研究しているわけです。
ここで、少し疑問に思う人がいるかもしれません。
「動物のことばっかり研究して、何の意味があるのだろうか?」「人間の身体ことを研究すればいいじゃないか?」
薬学という学問の目標が、「ヒトの病気を治療するための新しい薬を開発すること」であることを考えると、実験動物を使って研究をすることは、一見その目標にそぐわないように思えます。
しかし、そうではないのです。
チャールズ•ダーウィンという人をご存知でしょうか。そうです、かの有名な「進化論」を唱えた学者さんです。
進化論に則ると、動物は皆、共通の祖先から生まれてきたものであると言えます。
共通の祖先から生まれてきたとなぜ言えるのか。それは、別種の動物であっても「DNAが保存されている」からです。つまり、ヒトとマウスを比べた時、外見は全く違いますし、持っているDNAについても異なりますが、一部のDNAに関してはとても配列が似ており、元々は同じものに由来するのではないかと考えられるのです。
ヒトとマウスで同じようなDNA配列を有しているということはつまり
「ヒトとマウスの身体は同じようなメカニズムで制御されている」
と考えることができます。
したがって、マウスの身体が動くメカニズムが分かれば、実はヒトに関しても同じようなメカニズムで動いている可能性が高いわけです。
実際、実験動物を用いた研究で分かってきたメカニズムが、ヒトの身体においてもはたらいているということは非常に多く、そのお陰でたくさんの新しい薬が作られてきました。
皆さんが普段何気なく使っている薬も、こういった実験動物を用いた研究があったからこそ開発されてきた薬かもしれませんね!
僕自身もこれから新しい薬の開発に繋がるよう、日々研究に邁進していこうと思います。